関西学生ジャグリング大会レポート(山下)

6 3月

こんにちは。
山下です。
先日(3/4)は大阪で関西学生ジャグリング大会というものが行なわれていました!

関西学生ジャグリング大会

今年で四回目の第四回。 大学生の関西一位を決める大会!といいつつ、日本にはジャグリングの学生大会は関東(東京)・中部(名古屋)・関西(大阪)の三つしかないので、実質的には西日本一位に近いですね。高知や沖縄からも参加がありました。 (出場者の所属団体や居住地は全く問われない大会です。中部や関東からの参加もあり)
また世界大会(IJA)、全日本大会(JJF)などの大会に出場歴のある大学生は出場できないなどの規則もあり、西日本一の大学生です!というのも少し違うところもあります。

とはいえ、多くの学生が一位を目指してしのぎを削る場であることはたしかです。
部門は5つに分かれていて、女子ジュニア部門男子ジュニア部門の2つが歴二年未満のジャグラー向け(演技時間3分)、チーム部門女子フリー部門男子フリー部門の3つが歴二年以上のジャグラー向け(演技時間5分)の部門です。
今年は全部門通して見ることができたので、大会レポートでも書こうかと思います!(敬称略で失礼します)

会場は西成区民センター

会場は大阪の西成区民センター。去年までは北区民センターという場所での開催だったので、今までとは違う場所です。天下茶屋駅から歩いてすぐに到着。奥側にステージがあり、照明も使える場所のようです。観客席はパイプ椅子がズラッと並ぶ平らな空間。椅子席の後ろに撮影ブースがあって観客持参の三脚が並んでいます。会場後方にはジャグリングショップMDFの販売ブースも。
開始時刻は11時少し前くらい。10時半開始だったはずが少し遅れているみたいでした。司会や審査員(これも大学生が担当)、スポンサーMDFの紹介があって、ちょっと時間をおいてからの男子ジュニア部門スタート。

男子ジュニア部門

出場者は4人ずつのブロックに分けられています。男子ジュニアには出場者が16人なので、ブロックは4つです。
男子ジュニアのAブロックの4人がステージに登場して、アップをはじめます。
関西学生大会では、ブロックごとに「ステージ開放時間」というものがあり、3分間の間ステージ上でアップすることができるのです。この時間中に出場者はステージの感触や照明の具合を確かめる一方、観客側は休憩したり、出場者の名前と姿を確認したりということができるわけですね。

さて、ステージ開放時間が終了すると、一旦全ての出場者が袖にはけていき、影アナからの最初の出場者の紹介と出場者のスタンバイ。(影アナからの紹介では出場者から寄せられたコメントの読み上げもあるので、そこで個性を出してくる人もいます。)

今大会一番最初の演技はなんとフレアボトル(柏原拓夢、大阪芸大むつごろう雑技団)!
珍しいですね。2つのボトルとカップが1つ、細かいマニピュレーションを基礎にバランスキャッチなどで拍手をとっていました。多少こじんまりしていた感はあるものの完成度の高い演技だったと思います。

珍しい道具が観れるというのはもはや関西学生大会の一つの見所です。今回もフレアのほかに皿やフラワースティック、ハットなどが見れました。(昨年まででは傘やシェーカーカップやカラーコーンなどもありましたね。)

男子ジュニア部門は途中音響トラブルもありつつも、無事すべての演技が終了。

全体を通して見ると、ボールが強かった印象です。3bや4bのボディスロー(リバースバックやアルバート)で攻めた豊田貴大(京大Donuts)、ゆずの曲にのせて楽しく賑やかにナンバーズをみせた野村亮太郎(阪大Patio)、軽やかな身体さばきでボディスローなどを使いつつ3bでステージ上を動き回っていた高槻大貴(神大JUG六)、大柄な身体を利用して見栄えのある技を3bでやりつつも後半は火力のある5b・6bの技もみせていた中田哲(京大Donuts)など。最後9ボールにまで挑戦(惜しくも失敗)した野村が一つ抜けていた感じでしょうか。
シガーの西村隼亮(広大遊技団)、古谷聡司(千葉大possum)の二人やディアボロの力久健太(九州市立大croissant)も基礎の強さが伺える演技で印象に残りました。ブロックで言うと西村・野村・高槻・古谷が集まっていたBブロックが面白かったですね。

結果発表は全部門終了後の発表でしたが、先に書いてしまうと、一位野村、二位中田、三位高槻という結果。入賞おめでとうございます。

女子ジュニア部門

昼休憩を挟んでの女子ジュニア部門。出場者は全部で8人。
女子の方が男子よりずっと衣装その他の見た目に関してこだわりが強いので勢いステージ上が華やかになります。

今回の女子ジュニアはポイの二人がとても良かったです。
一人は会場を暗くしてのライトアップポイ(姫田綾音、無所属)。それだけで演出効果は強烈ですが、それにとどまらず演技の内容や技術も詰まっていて素晴らしかったです。もう一人はコンタクトポイとテールポイを途中で持ち替えて演じた佐々木仁美(鹿児島大奇術同好会)。歌詞合わせの動きを交えた演出で印象的でした。

他には和服シガーの藤本真理子(琉球大スタジオジャグリ)。沖縄のジャグラーさんか!と思ってみていましたが、シガーの新しめの技などを基礎にしていて、ちゃんと繋がっているんだなぁなんてことを勝手に感じてしまいました。
ディアの岡田早希(阪大Patio)は「ふわふわ」と歌うサビの歌詞に合わせてはにかみ笑顔で手をふわふわさせるという妙にあざとい演出。かわいらしい。わりに技は2ディアでファンやらハイトスやらなどをしっかり決めてきていました。

こちらの結果は一位岡田、二位姫田、三位佐々木

チーム部門

チーム部門はなんと一組だけ。。。
ちょっと寂しいですね。毎年チームは出場数が少ないです。学生ジャグリングの世界ではチームでのジャグリングはあんまりメジャーではないんですよね。逆に大会では狙い目だという見方もできるのですが。

今回のチームの出場は関西学院SPLASHから「Go!Go!Clubs」女子四人のパッシングチーム!
東大マラバリスタのチームThe Pastelsの影響が感じられる構成や技でした。演出は走り気味のロックに合わせて楽しく。やりきっていて好印象でした。7本2人でのパスで技をしたり、4人でパスの組み合わせを次々に変えていったり、などなど。最後は4人で13本(かな?)の回収しての終了。
とても良かったです。是非是非SPLASHではこのままクラブパスチームを伝統にしていって欲しいと思います。

女子フリー部門

今回は女子フリー部門も人数が少なめ。2人のみでした。
が、今回の大会で最も面白かったのは間違いなくこの部門だったと思います。二人だけのガチンコ勝負だ!という事情もありましたが、出場者ふたり完成度・気迫ともに強烈でした。

ディアボロの須藤麻希(阪大Patio)とボールの田寺志帆(神大JUG六)。

ボーイッシュな黒い衣装で、決めるところをピシッと決め、ラストは3ミルを回した須藤。2ディアのパートでのドロップがちょっと痛かったか。ストリング系の技の難易度はさすがパティオといった感じでした。なにより技を決める際や移動の際の足運びがとても決まっていてかっこよかったです。
白い衣装の田寺は、間をうまく使った見飽きさせない良い構成でした。ドロップも比較的少なく、まとめてきた印象でした。3ボールでは涅槃系やバックなどボディスローを綺麗に決め、さらに4ボールでもボディスローを入れてきて須藤の3ミルに負けないほど会場を沸かせていました。

審査員の採点集計では二人が同点になったようで、審議の結果、一位田寺、二位須藤に決まったとのこと。
来年は今年の緊張感を保ったまま、でも人数は倍以上に増えたこれが見たい!というわがままな感想を持った女子フリー部門でした。

男子フリー部門

そして花形の男子フリー部門です!総勢18人。全部門最多ですね。
先に部門全体としての感想なんですが、関西(近畿)勢がちょっと脱力気味?な印象。九州四国などの西日本勢が気合いの入った演技をしており、ほとんど比較にならない感がありました。まぁそもそも関西以外の出場者の方が多いのだけれど…。(広島や香川をも除いた近畿圏からの出場は18人中7人)

さて、初っ端は高知からメテオジャグラー(畠中良祐、高知大Trick or Treat)。衣装はなんと囚人服。軽いマイム劇を序盤、中盤、終盤の三度に渡って挟むという、学生大会では異色の構成。挑戦的でとても面白いと思いました。メテオが手錠になるという発想はなかなかない。。。
小芝居的なものを挟んできていたという点では、他にはディアの森本祐介(神大JUG六)が、卒業式の演出をしていました。ステージ下手側に白い机と証書筒、机に向かっての礼にはじまり、証書筒からディアスティックを受け取って、最後は机に向かっての礼におわるというもの。自身の卒業にかけてということでしょうか。演出はありつつもほかは普通にディアの技(完成度も難易度も相応に高かった)をしていましたが、せっかくなので、もっとがっつり演出に力を入れても良かったのではないかと感じたりもしました。

シガーの堀口楠日(神大JUG六)、湯木悠太(豊田高専ジャグリング同好会)はどちらも独特なセンスを放っていました。技の選択がそもそも普通ではなく、完成度や構成などをもっと詰めれば他を圧倒できる可能性もあるのではないかと感じました。湯木は寝転んでの演技スタートからの寝たままでの技などをしていました。堀口は間や時間の使い方がテンプレに依っておらず次にどうなるかが予測できない面白さがありました。

女子ジュニアにも和服での出場者がいましたが、男子フリーにも同じ演出をした出場者が二人。そしてどちらもとても完成度が高かった。和服を着ると空気が締まるから良い演出になるのか、和服を選ぶほどにこだわりがある人はそもそも良い演出ができるのか。。。

一人は皿回し(花田充、九州大9JUC)。皿はそもそも技が単発のものが多く、緊張感を操ることで見栄えがガラリと変わる類の道具かと思いますが、その特性を存分に利用した演技でした。特に前半にはバランス系の技を多く入れており、それらを丁寧に一技ずつ披露していくことで、空気を支配していました。後半は技術的にも攻めており、皿を重ねる技、ダブルレッグオーバーなど身体を使った技や、3皿カスケードからの531などにも挑戦。最後まで客席を盛り上げていました。この日一番盛り上がった時間だったのではないかと思います。

もう一人はシガーの天道尚吾(無所属)。コメントによれば広島からの参加だとのことです。シガーも他の道具に比べ単発の大技が多いので緊張感を高めて成功させるという手法はとても有効かと思います。が、この人の場合、かなり洗練された身のこなしをしており、一朝一夕でほかの人が真似できるものではないかもしれません。立て膝礼というんでしょうか?和式の礼法に詳しくはないのでわかりませんが、立て膝で丁寧に礼をして演技を開始、最後にも同じ礼をして終了という演技でした。シガーがはじめ3個から4、5、6と増えますが、道具を増やす際にもおざなりでない丁寧さがみれました。また技術的にも充分高いものでした。(ここの技はメモしそこねたのでわからなくなってしまった。。。)。今大会で一番僕が気に入った演技はどれかと聞かれたら、これを選びます。

一番は天道さんとして、僕のお気に入り二番を選ぶなら井本賢(九工大Pirouette)かと思います。道具はハットですが、日本ではあまり見られないアグレッシブな多数個ハットの演技でした。最近台湾にバスケットボール風にハットをするジャグラーが出てきていますが、それとシンクロする部分を感じます。構成も3→2→1→3→5→6と多少粗めではあれ、凝ったものでした。 肘や頭にハットをのせ、腕に持ったものと入れ替えていく技(なんていう系統なんでしょう?)をかなりのスピードで繰り出していて、うまさを感じました。5,6ではトスでのカスケード・ファウンテンもやっており、今後も楽しみです。ハットのジャグラー増えると良いですね。

他にも、タッチの柔らかさに基礎のうまさがにじみ出ていた斉藤駿(高知大Trick or Treat)と末元大樹(大阪府大Jenga)、初めから終わりまで縦ディアだけで貫いた滝健太郎(チーム無職2016)、ジュニアの野村に続いて9ボールに挑戦(惜しくも失敗)した久保田健斗(広大遊技団)などなど見るべきものは沢山ありました。

さて男子フリーの結果ですが、これは随分揉めたみたいです。
一位と二位が審査員の得点集計で同点になり、その審議に時間がかかったとのこと。
結果、一位が皿の花田、二位がハットの井本、三位がシガーの天道。
難易度評価は難しいところですが、会場の盛り上がりを考えると妥当なんではないでしょうか。

全部を観終わって

いかんせん時間が長いので、後半になるにつれ客席がちょっとずつダレてくるのはこういう大会ではいつも付き纏う問題ですね。なかなかなんともならないですが。審査員も大変だと思います。
観てて疲れる!という点は置いておくとして、照明の当たり具合は少し気になった点でした。おそらく会場の都合によってなのかと思いますが、みんな顔に明かりがあたっておらず表情が見えない、、、。出場者が少しステージ後方で演技をしていた時には見えていましたので、立ち位置の問題もあるかと思います。出場者は自分の出る前に他の出場者の演技を観て、観客席・審査席からどう見えているのかを気にしてみても良いのかなと感じました。

ジャグリングの大会の際にはいつも審査が問題になります。
やはり違う道具の難易度を比較するというのは厳密には難しいという点もあります。とはいえ異種間競争に特有の高揚感もありますし、僕として多少の曖昧さとゆるさのある現状の大会形式をまだまだ見ていたいなと感じました。

また出場者側と同じ「学生」が審査をしているのはどうなの?という問題も根底に未だあるかと思います。
関西においては学生側の見る目を養うためという名目などもありつつ今のやり方を続けているはずです(多分)。正直な話、審査員に誰を招いたところで現状と大して変化が出るとは思えないというところもあり、、、また「学生が目標とし、活躍の場とできるような大会」を掲げる大会ですので、審査がある程度あいまいでもよいのでは、とも思えます。今後、優勝したら〇〇の大会への出場切符が!ということにでもなれば変わってきそうですが、、、

僕はとりあえず今回の大会は充分楽しまさせていただきました!
いろんな地域・団体において別々に練習してきたジャグラーの演技を一度に、玉石混交のまま観れるというのは楽しいことです。
スタッフ・出場者の皆さんお疲れ様でした。来年も楽しみです。
なお、今大会の出場者得点表は連盟HP(http://juuc2014.web.fc2.com)から見れますよ。

来週(3/11)には関東学生ジャグリング大会4/1 4/2には中部学生ジャグリング大会もあります。それらも楽しみですね。
(中部の日程を4/1としていましたが、誤記でした。失礼しました。

ということで今回は関西学生ジャグリング大会のレポートをお届けしました!
それではまた。

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