このご時世で練習場所が取りづらく、小さいスタジオで練習を繰り返しています。
自分が暮らしていた仙台には、地下鉄駅から徒歩2分で、朝9時から夜9時まで使えるうえ、天井もゆうゆう10m以上の高さがあり、なによりそれを無料開放している奇跡のようなスペースがあったため、わざわざ稽古場を借りるという作業自体不慣れだったり。
とはいえスタジオも入ってみれば好きに音楽を流せるわ、大きい鏡(パフォーマンス広場には唯一鏡らしい鏡がなかった)を占有できるわ、これはなかなかいいな…と、ひとり満足していました。
なかでも大きい音が出せる喜びはひときわ大きく、制作と関係ない曲をでかい音で流してテキトーに動いていると、あれもう1時間経ってる…という現実逃避がしばしばなされ、進捗を危うくしていたのでした。
しかし、そんな脱線的な振る舞いからも本編に使える動きは生まれます。行っていることの何が逃避で何が制作なのか、判然と見分けることは難しいようです。横穴に逸れてるようで、着実に前へ進んでいるぞと気づける感覚は、制作の醍醐味かもしれません。
スタジオ練、今後も定期的に試そうかな。
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演者紹介 結城敬介
作品名
『c-5』
紹介文
「無観客配信」というフォーマットに、いま誰が期待しているでしょうか。
誰しもが知るように、昨年からのライブパフォーマンスにおける配信過多の状況は、外的に強いられたものです。皆、こんな手間のかかることはなるべくなら避けたいし、対面のライブでやったほうが楽しいし、話が早いのです。
しかしながら、これを一種の”縛りゲー”として考えるならどうでしょう。そもそもジャグリングなんて、自ずから好んで多数の縛りゲーに興じているようなものです。
配信下でのジャグリングパフォーマンスは、いわば二重の縛りゲー。その試みは必ずしもうまくいくかどうか、わかりません。そもそも「うまくいく」ことを問い直すような機会になりうる、かもしれません。
期待なき無観客配信という遊び場で、ままならさに縛られて共に過ごしましょう。
※本作に使用される音楽は以下の2名によって制作されました。
南部大地:演奏・作曲・編曲・録音
小野健宏:演奏
プロフィール
プロジャグラー。JJF2003チャンピオンシップ2位入賞。「WJDinTohoku」や「ホゴノエキスポ」「せんだいキッズジャグリングフェスティバル」イベント等の企画も行う。2017年より「空転軌道」にも参加。